ただただダラダラ佇むダダイズム

知らざあ言って聞かせやしょう。

たまには俺のロマンスの話しでもしてみようかなあ

couple on the beach

このブログでは自分語りを何度もしてきているのだけれども、まだロマンスの話しはしていなかったなあ。まあこんな俺にもロマンス的な話しはいくつかある。

その中から今日はあの子とのロマンスを話していこうじゃないか。

あれはいつの頃だったか、ある時に小学校の同窓会があった。

俺の小学校はあまり子どもがいなかったのもあり1クラスで6年間過ごした。なのでか分からないが繋がりが濃く未だによく同窓会をしていたりもする。

俺も何度か出席していたのだが、いつもだいたい同じ顔ぶれ。そして毎回同じようなことを思い出して話す。みんな笑顔でまた会おうねと散っていく。

今ではそんなことはないのだけども当時はそれがなんか辛かったなあ。これの何が面白いんだ。そんなふうに思っていたよ。

まあそう言いながらも参加していたのは俺もみんなみたく笑いたいという想いだったのかもしれない。今となってはそう感じる。みんなが羨ましかったんだろうなあ。

そしてある同窓会の時に特別なことが起こったのだ。今までとは違う顔ぶれが何人かいた。小学校の途中や卒業後に引っ越ししてしまったりした人達が来た。

その中にいた1人の女性こそ今回の話しのヒロインである。仮名だがここではキャサリーンにしておこうか。いや、イメージが違いすぎる。

なかなか決まらないのでM子にしておこう。

まあそのM子は四年生の時に愛知から引っ越してきた。そして親の仕事の関係もあり小学校卒業後にはまた地元の愛知に戻っていった。

なので実際に一緒に過ごしたのは三年間。

M子はすぐにクラスに馴染み、いつでも笑顔でとても活発だったのでクラスの人気者となっていった。彼女には他の女子にはないエクボという武器があった。そしてたまにアイドルのような仕草をする。まあそれが可愛いのも事実だった。男子からは人気があったが女子の中で嫌いな人もいたようだが。

 

当時の俺は鍵っ子で学校が終わり家に帰っても誰もいないので、放課後に遊ぶ予定がない時は学校の飼育小屋でうさぎを見ていた。

ピョンピョンと飛んだり野菜を食べたり鼻を動かす仕草を、ずっと見ていた。帰りなさいと先生達がいうまで。

6年生の最後の方にM子が忘れ物を取りに来て俺に気づいた。そしてM子とうさぎを一緒にみることに。

ずっと黙ってうさぎを見る。2人の影は一つに重なっている。

ある時にM子がこう言い出し会話が始まった。

M子「私好きなんだよねえ」

俺「俺も好きだなあ。可愛いよね」

M子「本当?」と言ってはしゃぐM子。

俺は気にせずにうさぎを見ている。

M子「それじゃ私たち付き合っちゃう?」

俺「???」

M子「だってお互いに好きなら付き合うってことでしょ?」

俺「??????」

俺「なんでうさぎ好きだと付き合うの?」

M子「???」

M子「うさぎじゃなくてキクノスケのことが好きなんだよお」

俺「???」

俺は呆然としてしまった。

M子「もういいよお」といい忘れ物を取りに行くM子。校舎から戻ってきたがそのまま校門にむかい歩いて帰っていった。

立ち尽くす俺の影は長く伸びている。

とりあえず俺も帰ることにした。家に着くとまだ誰もいない。兄のカバンは置き去りだ。きっとまた夜遅くに戻ってくるだろう。

机にはご飯の在り処を示す手紙。親も遅くなるだろう。

そんなことよりも俺はさっきの出来事に夢中だった。

好きと言われたのは衝撃的でまだ心臓がどくどくしている。

俺もM子が好きだったのだ。言われたからではなくて前から。

さらにどくどくする心臓。

付き合うとかどういうことだ?小学生の俺にはそんなことは分かるはずもない。だが同じ年齢のM子はそれを知っていた。

明日学校で会ったらなんといえばいいんだろう。とりあえず謝ろう。

ビリビリに破かれた手紙がそこら辺に散らばっている。

 

翌日早めに登校してできるだけ人の居ない時にM子に話そうと思っていた。

狙いどうりに一番最初に教室に到着。

1人

2人3人

4人5人6人

7人8人9人10人11………

他のみんなも登校を終えて先生が入ってきた。

チャイムがキンコンカンコン虚しく鳴り響く。

M子はその日学校を休んだ。

先生は風邪だと言っていたが俺は責任を感じてしまった。

次の日は普通に登校してきたM子だが話しかけることが出来なかった。M子もどこか俺を避けるように過ごす。

たまに目が合うと気まずさ倍増だ。だが俺にはどうすることもできない。

そうしてそのまま月日は流れてついには卒業式の間近を迎えてしまったのだ。

俺は1人で家にいた。あれからうさぎを見ることもあまりなくなってしまった。うさぎを見るとあのことを思い出してしまう。

すると家のチャイムが鳴る。ピンポーン。

俺は1人の時は出ないという親との約束だった。

ピンポーン。ピンポーン。ピピピピンポーン。

ドンドン。キクノスケ居る〜?

その声の持ち主はY美だ。親との約束をやぶり俺はドアを開けた。

Y美「今時間ある?みんなで遊ぶから来る?」

俺「いいよ」と言いながら靴を履き外に出る。

向かった先は動物公園。動物の遊具がたくさんある公園だ。

ヒビだらけキリン。鼻の折れた象。鉄骨が飛び出しているライオン。

遊具となった動物達が遊び相手を探している。

まだ俺たち以外に誰も来ていない。

そこにM子が現れた。

俺は気づかないふりをしてブランコで遊んでくると言いその場を離れようとした。

Y美「ちょっと待って。M子が話しがあるみたいだから

俺は遊具になった動物のように固まった。その違いといえば、どうしたらいいのかという思考のみ。

M子が2人のもとにくるとY美は「あっちで待ってる」と言って遠ざかる。

M子「ずっと話せなかったね?」

俺「うん…」

M子「ごめんね。アタシのせいだよね。」

俺「いや…ちがっ……」

M子「キクノスケは優しいから。他に好きな子がいるんだもんね。ごめんね」

M子はそう言いながら泣いていた。

その涙をみたら俺は何もいえなくなってしまった。

M子「アタシ卒業式が終わったら愛知に戻るんだ」

俺「えっ?そうなの?」

M子「うん。お父さんの仕事だから」

俺「そっか……寂しくなるねえ」

M子「ありがとう」

そう言うと手に持っていた袋を俺にくれた。中身はハンカチとミサンガだった。

M子「アタシのこと忘れないでね?」

涙でいっぱいの目を潤ませながら精一杯の笑顔でそう俺に言った。

俺「うん。忘れないよ。ありがとう」

それを聞いたM子は待っていたY美の所に行き肩に顔をうずめるように泣いている。

俺もM子が好き。その一言をいう勇気がなかった。

俺はどうすることもなく立ちすくんだ。

遊具となった動物達は黙ってみんな俺のことを見ている。頭が真っ白だ。もはや遊具の動物と俺との違いが分からない。

しばらくするとみんながぞろぞろやってきた。そしてみんなで遊んだり話したりした。

時計の針がピタッと真っすぐになるまで。

M子にはいつもの笑顔が戻ってきている。

彼女の笑顔は本当の笑顔ではないのかもしれないと、その時に子どもながらに感じていた。

そして卒業式が終わりM子は愛知に帰っていった。

 

書いててもなんか懐かしい感じがしてきたよ。このM子との再会からを書こうと思っていたのだけども思い出したらついつい書き過ぎてしまった。

ある意味で純情なロマンスな部分ではあるのだけれども、2人は10年以上の時を経て再会しどうなっていったのか。まさかの展開が待っているぞい。

それはまた次に書いていこうじゃないか。

第二章へ続く 

kabuku.hateblo.jp

 

© 2016 知らざあ言って聞かせやしょう.