俺とM子のロマンス〜第二章〜
今日は先日書いたM子とのロマンスの続きを書こうじゃないか。また今度書こうと言って続きを書くのは珍しい俺。毎回書こうとは思うのだが他に書きたいことが浮かんでしまうと駄目なのだ。これ以上書くとまた他のことが浮かんできそうなので早速本題に移ろう。
まだ前回の記事を読んでない人は先に読んでみてほしい。
M子は小学校の卒業とともに愛知に引っ越していった。
それから一度も会うことなく10数年の時を経てM子が目の前にいる。小学校の時はボブだった髪は背中まで伸びるロングヘアに変わっていた。すっかり大人になったM子は可愛い女子から綺麗な女性へと成長していた。
この時の同窓会には30人近くが来ていた。俺はM子と遠い席に座った。しかし席を挟んでM子の顔がいやでも目に入る。笑顔で話すのは今も昔も変わらない。
話したい気持ちと恥ずかしくて話せない気持ちが同居する。
途中で席替えがあったのだがその時もM子とは距離がある所になった。
同窓会をするのはいつも決まって同級生の親がの個人経営の居酒屋だ。時間はたっぷりある。どこかで一言でも話せればいいなあと思いながら同窓会は進んでいった。
普段の俺は酒を飲みすぎて潰れてしまうということはあまりないのだけども、この時ばかりはついつい飲みすぎてしまった。飲んだというか自然と酒が進んでしまったのだ。
2時間位が過ぎた所で30分ほどトイレに閉じこもる。完全に酒に飲み込まれてしまった。席に戻ったあとも座ってることができずに部屋の角で座布団を重ねて横になる。
何人かが大丈夫?と声をかけてくれて返事をしていたのだけども、気づいたときには数十分程寝てしまったようだ。
半分開いたボヤけた目で「水のみたい」というと、「はい」と言って水を渡してくれた。「大丈夫?のみすぎたのかな?」と声をかけてくれる女性。
とりあえず水を流し込み「大丈夫」という俺。
コップの水を飲み干すと目が覚めてきて視界がはっきりした先にM子がいた。
M子「久しぶりだね」
俺「ああ、M子か?久しぶり」
来ていたのも気づかないようにする俺。精一杯の強がり。
M子「少し話したいなって思ったから横にきちゃった。大丈夫?」
俺「うん、大丈夫じゃないけど大丈夫w」
M子「(笑)キクノスケはかわらないね」
俺「そう?w」
M子「相変わらずマイペースなところとか(笑)」
俺「そっかw」
すっかり目も覚めて体を起こそうとするがまだフラつく俺。
M子「横になってて大丈夫だよ」
俺「ありがとう」
それからお互いに近況などを話し合った。思い出話しも。だがあの時の話しはお互いに切り出さなかった。まあ十数年前の話しだ。俺は覚えているが、きっとM子はもう忘れてる。そう思っていた。
とりあえずアドレス交換をすることになり俺は携帯をM子に渡して「これが俺のアドレスだからあとでメールして」と言った。
お互いに話しも落ち着いてきた所で「はいっ席替え!」の声がかかるとM子も「またね」と言って移動していった。
俺は起こしていた半身をまた横に戻した。
携帯がブルッと震えたの気づいて目を覚ます。また少し眠ってしまったようだ。まだみんなは元気に飲んでいる。
携帯のメールをチェックすると、そこには見知らぬアドレス。
中身を開くと「M子だよ。これが私のアドレス」と書いてあった。
えっ?と思いM子を探し出し見つけると、M子もそれに気づき笑顔を返してくれた。
俺はM子に顔文字だけのメールを返す。
するとM子からも顔文字だけのメールが届いた。また返信する俺。そしてM子も返してくる。同じ空間にいながらメールで会話する2人。たまに顔を見合わせ恥ずかしそうに笑う。
それから少し経ち「それでは今日もありがとうございました」と宴の終了を宣言する幹事。
俺はフラフラと立ち上がりお金を渡し外の空気を吸いに先に店を出た。
ガードレールに寄っかかっていると、酔いが戻ってきたような感じがした。酒が体中に回ってる感じがする。数分するとぞろぞろとみんなも降りてきた。
街頭やネオンがチラツキ焦点が定まらない。
とりあえず駅にみんなで向かった。
駅につくと「もう1軒いく?」「いこうぜ」「夜はこれからっしょ」「私は帰る」「また今度だね」そんな声だけが聞こえてくる。俺も一言だけM子と話したかったがまだ焦点が定まらない。誰が誰だか分からない。
するとM子から声をかけてくれた。
M子「大丈夫?次も行くの?無理したら駄目だよ。アタシは帰るけど後でメールするからね」
俺「もう帰る。後でメールするよ」
M子「うん。気をつけてね」そう言ってM子は宿泊先のホテルに帰っていった。
俺は帰る組の何人かと歩きながらなんとか家についた。
着替えもせずにすぐに布団の中に入り眠りにつくが途中で気分が悪くなり起きてトイレにいく。まだ外は暗いようだ。
戻ると携帯のお知らせランプがチカチカと光っていた。
すぐに確認するとM子からのメールだ。
M子「無事に帰れたかな?アタシもさっきホテルについたよ。かなり酔っ払ってたね?いつもかな?(笑)今日は久しぶりに会えて本当嬉しかった。話しもできたし。でも…もうすこし話したかったな。そうだ、明日夕方頃には愛知に戻るんだけど、その前にまた◯◯駅に行って昔住んでたところとか小学校を周りたいんだけどキクノスケも一緒にいってくれる? 急だし迷惑だよね。ごめん1人でのんびり回ってくるよ。」
当時のことなので正確ではないがこんなメールが届いていた。
1人で勝手に完結する所。M子も変わっていなかった。俺はメールに返信した。
俺「明日は空いてるよ。一緒にいこう。何時ころ◯◯駅につく?」
そうメールは打ったもののこの気分の悪さで行けるのだろうか。とにかく寝なきゃ。また布団に戻り眠りについた。
次に起きた時には外は明るく鳥がさえずっているのが聞こえてくる。まだ酒が残ってるのかフラフラする。ヤバイ!今何時だ?時計をみると8時半を過ぎている。携帯を見るとまた着信ランプが点滅している。M子から5時頃にメールが来ていた。
寝れなかったかな。と思いながら内容を確認する。
M子「一緒に行ってくれるんだね。嬉しい(^o^)10時頃には◯◯駅につくよー」
俺「あいあいさー」とメールを返し急いでシャワーを浴びる。
気分はそわそわするがこれは酒によるものではない。M子とまた会える喜び。もしかしてデートか?いや、2人とは限らないから期待値は低めでいこう。いや、でもデートかもしれない。嫌でも気合が入る。
何を着ていこうか。髪型はこんなんでいいかな。当時の俺は彼女もいなくデートも全然していなかった。洗濯物も溜まっている。綺麗な服なんてない。どれもボロばかりだ。とりあえずはその中で一番綺麗だと思われるものをチョイスして駅へと向かった。
時間は10時まであと10分。まだM子は着いてないようだ。
ドキドキソワソワする俺。早く来ないかな。しかし何故かこのまま来ないでほしいような気持ちも心のどこかにあった。
10時少しすぎるとM子が改札の向こうにいるのが見えた。昨日とは違う格好だ。改札を通りぬけて俺の目の前にくるM子。
M子「ごめんちょっと遅くなっちゃったね。」
俺「ぜんぜん大丈夫。」
M子「二日酔いとか大丈夫?」
俺「余裕っすw 他誰かくるの?」
M子「2人だけだよ。とりあえず昔住んでた所見たいなあ。」
俺「良いよ。それじゃ行こうか」2人だけか……心の中のガッポーズ。
こうして2人の思い出の土地巡りが始まった。
俺や友達の多くが住んでいたのは一般的な団地だったのだがM子は少し離れた転勤族用の特殊な団地に住んでいた。俺はその前を通るたびにM子のことを思い出していたなあ。
2人がその団地に着く。しかし数年前から誰も住んでいなくなってしまったので中には入れない。遠くから見ながらM子は色んな思い出話しを聞かせてくれた。
楽しい話しや真面目な話し。嫌だった話し。表情をみていると、M子の笑顔の裏側が少し見えたような気がした。
次に向かったのは小学校。当時とほとんど変わらないその姿にM子は懐かしさを感じていた。
その日は日曜日なこともあり校庭開放をしていた。しかし子どもは数人。昔はもっと沢山の子が遊んでいたが今ではもっと子どもの数が減っているようだ。余談になるがこの何年後かには小学校は廃校になってしまった。
次はみんなで遊んだ場所を回る。最後は動物公園。あの場所だ。
遊具になった動物達は劣化のせいで全て撤去されてしまって今では平たい公園になっている。まるで違う場所のようだが、その空間の2人の思い出は変わらない。
ベンチに腰をかけて話す。懐かしの店で買ったサンドイッチとジュースを食べながら。
何十分も話しサンドイッチも食べ終えたころに、俺はついにあの時の話しを切り出した。
俺「あの時のこと覚えてる?」
M子「あの時のこと?うん覚えてるよ。キクノスケも覚えててくれたんだね。嬉しいなあ」
俺「俺も覚えててくれて嬉しいよ。」
M子「あの頃アタシかなりガツガツしてたよね(笑) ごめんね」
俺「いや、実はあの時俺もM子のこと好きだったんだ」
あの時にいえなかった言葉が今ではすんなり言える。
M子「そうだったの〜?なんだよお」
俺「ごめん、そういうのよく分かってなくて」
M子「いいよ。今でも言ってくれて嬉しかった。ありがとう」
それから2人の距離が少しづつ縮まってきたように思えた。
10数年後の告白をした俺。当時としては何でもないことだと思っていた。
しかしこのことがきっかけとなり2人の関係は大きく動き出していくのである。
また長くなってきてしまったので続きは次回。まさかの三部作。
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